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インフォーミング・ジャッジメント
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III III. カイザー保険の全国統合糖尿病ケア:管理プログラム
   ブリティッシュコロンビア州におけるエビデンスにもとづく医薬品ポリシーの実行と評価
 (Kaiser Permanente's National Integrated Diabetes Care Management Program)

Matt Stiefel,Kendra Rothert,Robert Crane ,William Caplan,Helen Pettay
内田 英二   昭和大学医学部 第二薬理学
エグゼクティブ・サマリー(Executive Summary)
序 論(Introduction)
カイザー保険におけるクリニカルリサーチ,ポリシー,実施の統合
 (Integration of Clinical Research, Policy, and Implementation at Kaiser Permanente)
ケーススタディ:カイザー保険の糖尿病ケアマネジメントプログラム
 (Case Study: Kaiser Permanete's Integrated Diabetes Care Management Program)
エピローグ(Epilogue)
文 献
用語集(Glossary)
付 録(Appendices)

エピローグ(Epilogue)
 糖尿病患者であるメンバーへのケア改善にあたり,地域のカイザー保険を補助するためにCMIはIDCプログラムの実行を支持する数々の活動を行ってきた。
■□■  利用者グループの会議(Users' Group Calls)  ■□■
 各四半期にCMIは,プログラムの全域で糖尿病の専門家と医師の利用者グループ会議を開催している。2000年11月の糖尿病の利用者グループ会議は,糖尿病をもつメンバーの入院数と入院期間を減少することに焦点を当てた。ワシントンホスピタルのResa Levetan医師とカイザー保険北西地域のHarry Glauber医師は,糖尿病ケアにおけるこれらの重要な問題へのアプローチについて講演を行った。彼らの発表では,入院率とコスト,また入院数とその期間を減少させるための対策が説明された。特定のトピックには,病院における糖尿病患者の血糖コントロールのためのIVインシュリン使用,改訂された看護師助言プロトコルによる入院の予防,救急部からの入院前の糖尿病専門医との相談,医師と患者による脂質コントロール,禁煙,血圧コントロール,アスピリン治療などによる入院の予防が含まれた。

 利用者グループは会議で,糖尿病患者の入院日数を減少させ病院においてグルコースレベルをコントロールするプログラムをもつカイザー保険を支持する十分な証拠があるとの意見に同意した。これらのプログラムのために決定された優先項目には下記のものが含まれている。
1. 退院時に,グルコース<200 mg/dLを保つことが可能であると査定され,必要時には指導が行われること。
2. 診療時には,自動的にグルコーステストの手続きが行われること。
3. グルコースが>200である時には,改善と長期にわたるコントロールのために自動的に手続きが行われること(外科領域は最も可能性の高い領域かもしれない)。
4. 患者がCAD/ESRDへの高い危険を伴う際には,ASA,ACE,コレステロールの減少,禁煙など適切な処置から開始する。
5. ケースマネージャーは,退院への妨げを取り除くよう努める(適切な薬剤を確保する)。
6. 再入院を防ぐために,外来患者への指導や適切な薬物治療を確実にする。
 利用者グループの会議が貴重である一方,医師らは予定された時間の超過が許されないという制約があるため,関係する医師の半分以下が携わっている程度である。
■□■  糖尿病対策の四半期報告  
  (Quarterly Reporting of Core Diabetes Measures)  ■□■
 CMIは毎年,ケアマネジメントの情報と,医学的効果と効率に関する目標を明記した各地域の連絡回報(MOU)を作成している。MOUのプロセスは,これらの効果と効率の目標に向けた進展に関する四半期の報告書を含んでいる。2001年にCMIは,糖尿病を含む主な疾患の主要項目に関する報告を開始した。主要項目の報告は,地域間の比較の向上や,カイザー保険における効果的なプログラムと困難なプログラムの識別を可能にする。糖尿病のための主要項目は下記のものである。
  • 血糖値テストとコントロール
  • 脂質テストとコントロール
  • 網膜症スクリーニング
  • 腎臓のスクリーニング
■□■  処方選択のための医師中心の方針決定  
  (Physician-Based Decision Making for Formulary Selection)  ■□■
 カイザー保険は,処方集に記載する薬剤の選択のために,医師による方針決定のプロセスを行っている。処方集への新たな記載や削除に関し,FDA認定薬剤の審議を行うために,地域と施設を基準とした薬店や治療委員会が設置された。薬剤は,安全性,有効性,品質,メンバーへの便宜,そして適当な場合には価格をもとに評価される。

 たとえばカリフォルニア北部では評価は,Perma-nente Medical Groupの医師,施設,また地域の薬店や治療委員会,委員会の代表者,またはDrug Information Services,Pharmacy Servicesの部門などのリクエストにより行われる。続いて,類似した処方薬との関連を考慮しながら,エビデンスにもとづいた薬剤の分析を含む入念な査定と承認のプロセスが行われる。処方集への記載に関する予備的な推奨も含めて薬剤の研究書が準備される。さらに,委員会の地域代表,対策本部,諮問委員会からレビューが提出される。また,専門家や選択された医師グループからの助言も要請されることがある。意見の一致にもとづく推奨はさまざまな医学専門家グループから入手されている。

 多数の専門家の意見や推奨を検討した後に,地域の薬店と治療委員会は処方集への記載について投票を行う。地域の薬店と治療委員会は,ある薬剤を専門医の使用のみに限定することがある。特に,安全性が確立されていないもの,不適切な使用の可能性が考えられるもの,専門家の助言が必要なものなどである。なお,特筆すべき事は,投票を行う地域の薬店と治療委員会メンバーは,薬店の対策と運営の副代表を除き,すべて医師であるという点である。判定は,電子メール,ニューズレター,カイザー保険のウェブサイトなどを利用して,医師らに迅速に広く伝達される。

 われわれの糖尿病患者の治療に使用される薬剤は,処方集の認定前にこれらのプロセスにより決定される。しかし,治療にあたる医師が,処方集以外の薬剤が必要である場合,事前の認可がなくても処方されることがある。これは,最良の医療ケアを妨げないことを目的としているからである。
■□■  糖尿病プログラムの受賞(Award-Winning Diabetes Programs)  ■□■
 2000年に,カイザー保険の中の3つのプログラム〔ハワイ,Group Health Cooperative(GHC),北西地域〕が,National Committee for Quality Assurance
(NCQA)による糖尿病患者のための主要マネジドケア組織のリストのトップ3を獲得した。またプログラム全体にわたるIDCもAmerican Association of Health Plans' Exemplary Practice Award for Diabetesを2000年に受賞した。
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