|
3.1 除外された試験 (Excluded Trials)
11のランダム化比較試験が見出されたが,そのうちの1つは未発表であった。このうち,7つの試験は除外された。4つは用法・用量が異なることが理由であり,3つは予防法に関する研究であったことによる。このうち1つは実験的に誘発されたインフルエンザを対象にしていた。 |
|
3.2 使用された試験 (Included Trials)
3つのザナミビルの試験がこのレビューのための条件を満たしていた。これらはすべてGlaxo Wellcome による第III相試験であり,それぞれが異なる3つの大陸で行われた。
(1)NAIB3001 - 南半球,(2)NAIA3002 - 北アメリカ,(3)NAIB3002 - ヨーロッパである。すべての試験はランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験であった。南半球での試験(NAIB3001)の内容のすべては発表され,北アメリカ(NAIA3002)とヨーロッパ(NAIB3002)の試験は学会のアブストラクトとして発表されていた。3つの試験をプールした(integrated)分析については,企業からも提出された。またプール分析の結果については論文がすでにアクセプトされているが,この報告書の時点では未刊行である。これらの試験の主要評価項目は,症状が緩和する時期である。またそれ以外のアウトカムには,合併症,抗生物質の使用,また通常の生活に戻る時期などを含んでいた。 |
|
3.3 経済評価 (Economic Evaluation)
ザナミビルの経済分析は見出されなかった。ザナミビルの費用対効果のモデルと予算の影響は,医薬品業界からの提出資料に示されている。 |
|
3.4 研究の詳細(Details of Selected Studies)
この報告書に含まれた3つの試験の詳細は,表1に示す。すべての研究はランダム化の方法が明確で,患者,医師らスタッフ,評価者は,薬剤割付が盲検化されており,解析はITTであった。 |
|
3.5 医学的効果(Clinical Effectiveness)
結果はITT解析により評価され,解析対象群は(ランダム化されたすべての患者と臨床的効果を評価可能例)インフルエンザ陽性群と,高リスク群(慢性呼吸器疾患,高血圧を除く心血管疾患,代謝疾患,また免疫不全患者,および65歳以上の高齢者)などである。
|
3.5.1 症状の緩和(Symptom Relief)
ザナミビルは症状を中央値で1日(95%CI:0.5から1.5日)短縮していた(表2参照)。
ITT解析では,インフルエンザ陽性群と高リスク群におけるザナミビルの症状の緩和の程度は,試験により異なっていた。北アメリカにおける試験では,有意な症状の緩和はみられなかった。 |
|
3.5.2 合併症 (Complications)
全体では,ザナミビルを用いた場合に合併症の発生に明らかな減少がみられた(7%,95%CI:3%から11%)(表3参照)。高リスク群では合併症は13%の減少がみられたが,北米での試験では9%の増大がみられた。インフルエンザ陽性群と高リスク群での抗生物質の使用減少,[4%(0%から8%),5%(0%から9%,p=0.037),7%(CIは不明,p=0.33)]からも合併症の減少がうかがわれた。 |
|
3.5.3 コストとその削減 (Cost and Savings)
英国におけるザナミビルの予測されるコストは,5日間の治療で24ポンドである。企業からの提出資料は詳細な経済分析を示しており,ザナミビルのヘルスサービスへの直接コストはこの数字より低いものとされる(18.52ポンド)。この企業から提出されたコストの減少は抗生物質にかかるコスト,GPの診療コスト,また再入院に伴う入院患者のコストの減少の結果であった。この分析は多数の仮定を用いた経済モデルにもとづいている。たとえば,再入院は第III相試験により直接観察したものでなく合併症の割合から予測したものである。早期に通常の生活に戻る場合の間接的なコストもモデル化された。ザナミビル により,社会に対し,各患者につき21.51ポンドが削減されると報告された。 |
|
3.5.4 費用対効果と費用対有用性(Cost Effectiveness and Cost Utility)
医薬品業界からの提出資料では,ザナミビルに対する直接的なコストは18.52ポンドで,インフルエンザの有症状期間を1日減少するとしている。費用対効果の割合は,ザナミビルによる症状緩和の18.52ポンド(1日あたり)の増加であった。ザナミビルの直接的なコストが24ポンドならば,このコストは24ポンドまで上昇する。 |
|