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インフォーミング・ジャッジメント
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0 I I' II III IV V VI
IV IV. ブループリスクリプション(転換期におけるプログラム)
 (Blue Prescriptions: A Program in Transition
Mari Trommald,Einar Skancke,Arild Bjornda,Audun Haga,Andrew D. Oxman
渡邉 裕司   浜松医科大学 臨床薬理学
エグゼクティブ・サマリー(Executive Summary)
序 論(Introduction)
薬剤償還プログラムの概要 (Overview of the Drug Reimbursement Program)
プログラム変更の実施:5つの事例
 (Implementation of Changes in the Program: Five examples)
プログラム変更の評価 (Evaluation of Changes in the Program)
反省と一般化(Reflection and Generalization)
文 献
用語集(Glossary)

プログラム変更の実施:5つの事例
(Implementation of Changes in the Program: Five examples)
 Medicines Control Authorityに属する医薬経済学ユニットは1998年以降,19の報告書を作成した(Box 2参照)。ここでわれわれは,これらの中の2つの薬剤に関する決定と他の3つの事例について検証する。主な焦点は,償還を決定する際のリサーチの利用法について検討することであり,決定内容の実施や患者への効果ではない。ここでの事例は多額の予算が予測される薬剤の決定の具体例であり,当初は反対されるなどさまざまな議論を呼んだ。また経費を削減するための法令を整備する発端ともなった(sildenafilのケースなど)。これらは必ずしも低額の薬剤や議論なく承認された薬剤の代表ではない。

 記述は文書のレビュー,保健省による償還に関する文書,国家予算の改訂版,予算案に対する議会の反応,著者や主要な資料提供者の会議などによるものである。前述のように,決定の一部分が保健省によって下された。ここに記述されるサンプルは保健省によって近年審査された問題の約半分である。

 償還の決定における経済分析の使用は,ノルウェーで近年急速に進んできたものである。償還された薬剤に対して費用対効果を考慮した処方行動の促進対策は,さらに新しい試みである。この試みは,新薬が償還リストに掲載された後,(製薬企業からの販売促進用の図表などをもとに)医師が処方を変更し,それらの変更がしばしば費用対効果に劣るものであるか,プログラムの目的に適さないものであるという認識によって促進された。

 多数のリサーチは,その時々にNational Insurance Administration, 医薬経済学ユニット, 保健省によって助言を受けている。これらにはオスロ大学薬物治療研究所,またノルウェーの他大学の研究者,臨床医,国際コンサルタント,Department of Population Health Sciences at the National Institute of Public Healthが含まれる。これらの接触は,定期的なものではなく時に応じてなされている。リサーチグループと研究機関の間に,薬剤の償還を審査する正式な共同作業は存在しない。この報告で焦点をあてるのは,保健省,医薬経済学部門のポリシーメーカーと,Department of Population Health Sciences at the National Institute of Public Healthの研究者との,薬剤の有効性や価格の評価における共同作業である。さらに保健省に登録されている研究者(医師,統計学者など)との作業も報告されている。

BOX2 Norwegian medicines control authorityの医薬経済学ユニットによって1998−2000に作成された特定薬品に関する報告書
Year 1998
Valsartan(Diovan)
Testosterone(Atmos Depot)
Donepezil(Aricept)
Felbamate(Toloxa)
Sildenafil(Viagra)
Year 1999
Montelukast(Singulair)
Donepezil(Aricept)
Pramipexole(Sifrol)
Megestrol(Megace)
Acamprosate(Campral)
Repaglinid(Novonorm)
Palivizumab(Synagis)
Year 2000
Moxonidine(Physiotens)
Clopidogrel(Plavix)
Omeprazole(Losec MUPS)
Raloxifen(Evista)
Cisapride(Prepulsid)
Rofecoxib(Vioxx)
■□■  高コレステロール血症のためのlovastatin (Mevacor)(1988)  
  (lovastatin(Mevacor)for Hypercholesterolemia(1988))  ■□■
 lovastatinは,コレステロールを低下させる薬剤であり,ノルウェーで最初に使用されたスタチンである。Merck Sharp & Dome(MSD)は,1988年の承認に先立ち,lovastatinが常に償還の対象となるよう申請した。しかし,薬剤は症例ごとの償還のみが承諾された。1989年に薬剤が承認された後,当初の有効性についての報告とともに費用対効果に関する報告が添えられ,新しい申請が提出された。lovastatinはグループAの償還には承認されなかったが,特定のリスクをもつ患者のために個々の申請により償還が認められた(グループB)。National Insurance Administrationは,これらの薬剤への容易なアクセスは,(リスクを伴わない患者に対しての)処方の過剰を招き,多額の経費を生じると抗議した。

 償還の決定には医療経済分析も加味されるべきであるという近年の見解に従い,National Insurance Administrationは,National Institute of Public Healthにlovastatinの経済評価を行うよう要請した。評価が終了する前に,議会の政治家らはコレステロールを低下させるすべての薬剤を,償還対象の薬剤リストに加えるかどうかについて問題提起した。政治家,患者組織,MSD,医師らは,それらの薬剤を償還対象リストへ掲載する手続きを早急に進めるよう政府に要請した。

 National Insurance Administrationの最終的な勧告は,National Institute of Public Healthの報告書を基に作成された。それには,処方規制を緩和するよりも,より限定する必要があるとの結論が記されている。しかし,この段階で個々のすべての申請書が承認されていたことから,報告書は,lovastatin を承認リスト(Box 1,グループA)に掲載し,それにかかわる事務作業の負担を軽減するよう勧告した。報告書では,その処方は(費用効果分析レポートにより示された)3つの特定のリスクファクターをもつ患者に限定し,適切な使用の確立のため専門家のみが処方を許可されるよう勧告している。政府はこの勧告に従ったが,医師,薬剤師,患者組織らから提出された数々の陳情により,結果的には処方制限を改訂することとなった。現在では,ひとたび専門医により処方された場合には,その後すべての医師が,コレステロール低下薬を再び処方することが可能となっている。

 この評価を基に他のスタチンも償還リストに加えられた。6年後には,スタチンの償還費は年間約8億NOK(約9000万ドル)に達し,ブループリスクリプションプログラムのおよそ20%を占めている。National Insurance Administrationはこの状況を予測し,たびたび政府にコレステロール低下薬は心血管疾患の低リスク者を含む,多数の患者に処方される可能性があると通告してきた。しかし,現実には低い費用対効果と総コストの上昇をもたらす結果となった。

 薬剤経費の削減方法は,これまでは主に薬剤へのアクセスを制限することであった。この方法が不成功である場合(ここでの政治的な圧力などにより),適切な使用を確立するための他の方策はほとんどない。この経験は,新薬の保険補償に関する方針決定の根拠として,優先事項の決定と経済評価の必要性を強く認識させる大きなインパクトとなった。保健省は,スタチンと降圧療法に対する多額の出費を認め,また高コレステロール血症と高血圧の薬物管理をエビデンスにもとづくガイドラインに則り実施することにより,ケアの質の向上やコスト削減の可能性があることを認識した。保健省は,National Institute of Public Health と契約を結び,費用対効果の優れた薬剤処方に対して障害となるものへの介入を行いながら処方ガイドラインを作成し,実施していくこと,またランダム化比較試験により実施した方策の効果を評価することとした。このプロジェクトは,薬剤処方の改善に向けた活動を方針決定する根拠となるものであり,さらに,ポリシーメーカーと研究者の間で現在進行中の共同作業のモデルとして,政策に関連した研究を実施したり,政策決定において研究内容が正しく利用されることを確実にするために適用されるものである。
■□■  骨粗鬆症と骨折予防のためのAlendronate (Fosamax)(1996)  
  (Alendronate(Fosamax)for Osteoporosis and the Prevention of Fractures(1996))  ■□■
 購入者の関心事は依然費用であるが,より広範囲の償還に関する審査に先立ち,Medicines Control Authorityとalendronate(MSD)の製造者との間で意見の対立が生じた。Medicines Control Authorityは,申請された骨粗鬆症という適応よりも,骨折を伴う骨粗鬆症というさらに厳格な適応を課してalendoronateを承認したが,それについて製造者から激しい反対が寄せられた。これは価格設定の問題に続いて生じた。薬剤の価格設定は治療効果との関連により設定されることになっているがMedicines Control Authorityは,alendronateが他の承認されている薬剤(didronateなど)より優れているという十分な証拠がないため,価格は同等であるべきだとの結論を出した。これによりalendronateの価格は他のヨーロッパの国々よりはるかに低い金額となりMSDには受け容れ難いものとなった。

 再びMSDは抗議し,保健省に新価格の設定の申請を提出した。その後の論議は,alendoronateとdidronateの直接的な比較なしの両薬剤の有効性評価に関連したものであった。MSDは,MSDの資金援助によってNational Institute of Public Healthの研究者らによりなされた経済分析をもとに主張をする一方,新規に設立された医薬経済学ユニットは独自の分析を行った。保健省は彼らの結論を補足するための3つの報告書を提出することを求めた。それらは,National Institute of Public Healthによるノルウェーにおける骨粗鬆症のコストについての報告,オスロ大学による統計分析,National Hospitalの専門家による報告である。さらにMedicines Control Authorityは外部の2人の専門家に意見を求めた。

 製造者側は早期の段階から弁護士を参加させ,適応拡大と価格引き上げのためにMedicines Control Authorityと保健省に圧力を加えた。どのグループが有益であるか,また異なるアウトカム評価法の重要性についても大きな議論となり,意見の不一致が認められた。議会のメンバーも議論を取り上げ,多数の専門家が保健省に対し製造者の主張する高めの価格を決定し議論の終結をはかり,患者にとって入手可能になるよう要請した。要請の文面からは,MSDがこれらの専門家に要請を促したことが示唆される。議会は保健省にMedicines Control Authorityの主張を退けるよう指示した。さらに保健省は,正式な申請手続きを経ずにalendronateを承認薬剤のリストに追加するよう指示を受けた。

 Medicines Control Authorityは定期刊行誌に経済評価を掲載することを企画した。これに対し,MSDは掲載の停止を求めて訴えを起こした。この件は裁判となり,Medicines Control Authorityは報告書の掲載を認められた。これに続き,National Institute of Public Health の研究者ら(MSDの資金援助による経済分析に携わらなかった者)はalendoronateの有効性に関するエビデンスを厳格にレビューするよう保健省から要請を受けた。その結果,Medicines Control Authorityと類似した結果が出され,彼らの評価はJournal of the Norwegian Medical Associationに掲載された6)。しかしこの結果は,ロビー活動や,弁護士,マスメディアのさまざまな影響を受け政治的レベルで決着を見た,当該薬剤に関する方針決定にはなんの影響を及ぼすこともなかった。
■□■  多発性硬化症のためのインターフェロン Beta−1B(ベータフェロン)  
  (Interferon Beta−1b(Betaferon)for Multiple Sclerosis(1997))  ■□■
 Schering AGにより製造されるベータフェロンは認可され2年以上後に承認を受けるまで,数回にわたり審査を受けた。National Insurance AdministrationとMedicines Control Authorityは薬剤について異なる評価を出した。Medicines Control Authorityは,すでに出版された無作為化比較試験の評価にもとづく独自の分析を行い,この薬剤が医学的に重要な効果があるかどうかは疑問の余地があるとの結論を出した。

 疾患の重篤さや代わりうる治療がないにもかかわらず,Medicines Control Authorityは償還を勧告しなかった。National Insurance Administration は多発性硬化症について専門家に相談し,インターフェロンは臨床的に重要な効果があるため,償還の対象になるべきだとの意見を得た(この専門家は多数の参考資料を提示した)。この2つの報告書には,これらの意見の不一致の根拠を示す詳細が不足していた(たとえば同じ研究が異なって解釈されているのか,あるいは異なる研究報告にもとづき結論が得られているのか,など)。しかし解釈の相違の多くは,臨床的に重要なアウトカムと代替のアウトカム評価法の関連に対する見解の相違に起因していた(代替のアウトカム評価は,生理的または生物学的マーカーなどのように,それ自身は直接実質的な重要性がないものの,重要なアウトカムを反映すると考えられている。たとえば血圧は,患者に直接重要ではないが,脳卒中や心臓発作などの危険因子となることから,しばしば臨床試験のアウトカムとして使用されている)。

 保健省は償還対象としての申請を退けた。これは患者,患者組織,政治家,医師,マスメディアからの多くの反響を呼んだ。議会のメンバーはインターフェロンの償還についての問題を取り上げ,政府に対し,これを改訂された国家予算に含めるよう要請した。政治家らは,多発性硬化症に関する専門家の意見を提出し,一般的に慢性疾患を抱える患者には手厚く対処すべきであり,特に多発性硬化症の患者にはこれまで以上に対処すべき点があることを主張した。

 政治家らはまた,慢性疾患の治療のためにMedicines Control Authorityにより登録された薬剤がただちに償還の対象として承認されないことは不当であるとした。この主張は,インターフェロンは疾患の進行に対して統計学的に有意な効果があり,効果的な治療は,費用対効果にかかわらず償還の対象として認められるべきであるという見解からであった。

 議会からの指導に従い,保健省は専門家からの個々の申請によりベータフェロンの償還を行う決定をした(グループB)。National Institute Public Health や他の研究機関に対してこの評価に関する意見聴取はなかった。
■□■  勃起不全(Erectile Dysfunction: ED)のためのSildenafil
 (バイアグラ)(1998)
 
  (Sildenafil(Viagra)for Erectile Dysfunction (1998))  ■□■
 Sildenafil はED治療のために1998年11月に認可された。製造者のファイザーは,償還対象リストに掲載されるための申請を行わなかった。しかし,すでに認可前からNational Insurance Administrationは,ブループリスクリプションにより補填されない多額の費用について,患者個人からこの薬剤に対する補填の申請を受けていた(Box 1,グループD)。Medicines Control Authorityは,EDとの診断を受けたすべての患者が仮に償還の申請を提出した場合の経済分析を行った。この分析は患者数の予測のみから行われたものであり,生活の質の向上などの期待される作用については考慮されなかった。National Institute of Public Healthや他の研究者はこの評価に参加しなかった。

 この薬剤が効果的であるとされる患者はノルウェーに10万人存在するとの推測を基に,Medicines Control Authorityはsildenafilの費用を償還プログラムによって補填するべきではないとし,特に個人による申請も補填するべきではないと指示した。

 National Insurance Administrationはこれに同意した。費用対効果分析は行われなかったが,健康増進のために償還費用を割くべきではないとの結論が出された。この見解に対しファイザーは,特定の薬剤を補填の対象から除外することは法的に適切ではないと反論した。これは法令の改定をもたらす結果となり,National Insurance Administrationは,「経済的または医学的な理由で」,高額な費用に対する個人からの補填申請の対象から特定の薬剤を除外することが可能となった。

 これは高額な薬剤を補填するための選択肢をさらに狭めるものであり,sildenafilが償還の対象とされた場合の莫大な費用に対する懸念から生じた。EDは一般的には重篤な疾患ではなく,それゆえ償還の対象となる資格がないという議論もあったかもしれないが,この薬剤に関する方針は,潜在的なコストへの懸念によって決定されたものである。
■□■  喘息のためのMontelukast(Singulair)(1999)  
  (Montelukast(Singulair)for Asthma(1999))  ■□■
 MontelukastはMSDにより製造され,1998年11月に認可された。Medicines Control Authorityは,その有効性評価を認可段階の必須要素としたが,それは現在標準となっているEUによる認可制度に準拠したものである。償還対象リストへのmontelukast 掲載申請後,医薬経済ユニットが経済分析を行った。Medicines Control Authorityはこの分析の背景となるデータが十分ではなかったため,この分析から明確な結論を下すことに積極的ではなかった。治療効果がわずかであり,喘息管理における本薬剤の位置づけが不明瞭であったために,Medicines Control Authorityは,適切な本薬剤使用のために,専門家により治療が始められたときのみmontelukastを償還の対象とすべきだとしたが,MSDはこの規制に対し再審査を請求した。

 新しい研究が発表され,MSDは,montelukastの効果は過少評価され,またコストは過大評価されていると主張した。Medicines Control AuthorityとNational Institute Administrationは,有効性と経済的データに関して新しいエビデンスを批判的に吟味したが,前回の結論を変更しなかった。National Institute of Public Health は独自に評価することを求められ,適応に関して,規制を緩やかにするよりもむしろより制限すべきであるとの結論を下した。有効性と研究の質の評価については見解が一致したが,より高額で効果が明確でない他の治療方法に対して代わりうる価値があるかについては意見が分かれた。さらに,処方を専門家に限定することは,地方の患者に対して薬剤の使用機会を制限することにつながることから,薬剤への平等なアクセスの重要性についても意見の不一致が生じた。

 保健省は,議会に対し償還はコストに応じた治療効果があるのかを基盤として制限されるべきであると提案した。MSDと多数の呼吸器専門医は再び議会メンバーに陳情し,政府により提出されたエビデンスに疑問があること,専門家の意見が含まれていないことを訴えた。また患者組織は保健省に繰り返し接触し,必要性と治療効果がともに大きいことを主張した。その他の情報は医師と患者の逸話的な経験談が主であった。他の関係者らはノルディックコンセンサスガイドラインを取り上げ,montelukustが喘息の薬剤治療に重要な役割を担っていることを示した。何人かの議会メンバーの活発な活動にもかかわらず,保健省の意見が支持されることになった。

 Montelukastの有効性に関するその後の研究は,そのたびに評価や申請のほとんどすべての段階で利用されたが,これらの研究結果により新しい情報が生じたわけではなかった。MSDは活発にさまざまな関係団体に連絡を取り,ロビー活動に参加させた。MSDは議会に対し,審理プロセスのスピードと文書の秘密性保持に関する抗議を行った。最も深く関わった呼吸器専門医の一人は,montelukustに関する臨床試験の研究代表者であり,関係者の多くが取り上げた喘息管理に関するノルディックコンセンサスレポートの編集者であった。

 Montelukastは現在,個人申請の後に償還が行われ,専門家による処方が義務付けられている。National Insurance Administration, Medicines Control Authority, 保健省,National Institute of Public Healthと呼吸器専門医らの代表で構成されるワーキンググループは,どのようにこれが実行されるべきかについてのクライテリアを作成した。何人かの呼吸器専門医はこの活動への参加に積極的ではなかったが,それはMSDからの一層の資金援助と,それによるMSDからの潜在的圧力からであった。

 グループは,出版された主要な研究の一つが,患者の3分の1がmontelukast治療による効果が得られていないと報告したことから,N of 1 trial〔 N of 1 trialはsingle−subject randomized controlled trialで薬物の有効性を一人の患者で,薬物投与期間とプラセボ投与期間を交互させることにより検証する試験方法〕を推奨し,これによりmontelukast投与中の患者の有効性を確認することを提案した。N of 1 trialはそれまで大規模には利用されていなかったことから,グループはこのコンセプトを小規模な範囲で検証し,患者のアウトカムとコストを,(専門医による処方による)通常の診療方法で比較することを勧めた。報告書は意見を得るために,MSDとNorwegian Medical Associationに送付された。両者は報告書の科学的根拠について疑問を持ち,償還とN of 1 trialにより証明された個々への影響の関連を支持しなかった。

 この報告書が終了される前に,montelukastへの一般的な償還に関するNational Institute of Public Healthの評価を批判する記事がメディアに登場し,議会は新しいエビデンスが利用可能であるならば,証拠文書をもとに新しい評価を行うよう要請をした。これに関しては現在まだ解決されていない。
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