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第2節 方法
本邦における1990年代の試験を検討対象とし,いわゆる第2相,第3相試験217試験からなるデータベースを構築した。
これらの試験は,商業ベースの臨床試験結果を定常的に掲載している代表的な2誌,「臨床評価」(1972年創刊),「臨床医薬」(1985年創刊)に加えて,
これらの雑誌に公表されることが少ない抗悪性腫瘍薬および抗感染症薬の試験を補うために,「癌と化学療法」,
「日本化学療法学会雑誌」の2誌,計4誌が1991年から1999年までに掲載した試験から抽出した。有効性・安全性を検証するための第2相,
第3相試験は基本的にすべて抽出することとし,サンプルサイズ等による取捨選択は行わなかった。
耐薬性をみる試験,薬物動態(pharmacokinetics,PK)/薬力学(pharmacodynamics,PD)試験,長期投与試験はデータベースに含まれていない。
ただし,第2相試験等と長期投与試験とが分離できない場合は,可能な限り分離してデータベースに含めることとした。
上記の基準により,この期間に4誌に掲載された総臨床試験文献785報のうち217報(試験)が抽出された(抽出率28%)。
なお,試験はすべて旧GCP下で行われている。
試験に関する情報として,試験デザインに関する変数,および,被験薬の種類・試験の実施診療科に関する変数を収集した。
分析における被説明変数は試験あたりの国公立病院の数,または,試験あたりの大学病院の数とし,
説明変数としては文献から収集された各種変数を用いた重回帰分析を行った。
説明変数のうち,被験薬の種類と試験の実施診療科とは強い相関(一致)が見られたので,
これら二つのグループの変数をそれぞれ含んだ二つのモデル
(Table 2-4およびTable 2-5
におけるModel 1およびModel 2)で検討を行い,結果に大きな相違が生じないことを確認した。
統計解析ソフトウエアとしてはStata (ver.5.0, Stata corporation)を用いた。
本分析は説明的なものであり,なんら検証を意図するものではないが,説明の便宜上p値0.05を統計学的有意性の基準にした。
また,臨床試験の分布状況については,文献4誌を選択したことの選択バイアスの可能性を考慮して,
1995年時点で臨床試験が実施されていた被験薬の種類と数を用いた補正を試みた13)13)新薬・治験薬要覧.東京:テクノミック;1996.。