病院で聞けない話、診察室では見えない姿
精神科医療の「7つの不思議」
ISBN:978-4-89775-433-8 C0095
定価1,650円(本体1,500円+税10%)
夏苅郁子 著 児童精神科医・医学博士 やきつべの径診療所
四六判、並製、カバー4色、本文1色、224ページ
2021年5月19日発売
精神科医療では、なぜ、このようなことが起こるのだろう!
精神疾患の患者を家族に持ち、自身も患者を経験した児童精神科医が紐解く、精神科医療の「7つの不思議」。著者自らの経験を踏まえた精神科医療への思いや今後の精神科医療のあるべき姿を記しています。
■ 目次 ■
- まえがき:「生い立ち」を公表後、10年を経てわかったこと
- ささっとわかる「私の家族の物語」
- 診察室から飛び出して、患者さんとご家族の声を聞く
- 序章:病気のことがわかっていないから起こる精神科医療の「7つの不思議」
- 精神医学は、病気の原因を未だ見つけていない
- わかっていないから「不思議」が起こる
- 第1章(不思議1):病名を言われずに、何十年と通院している患者さんがいる
- なぜ医師は、病名を言わないことがあるのか
- 医師によって違っていた診断基準
- 今、医師が使用している「DSM(診断)」
- 「DSM」は、まだまだ過渡期
- 母の症状を当てはめてみると……
- 精神疾患を巡る「遺伝」と「環境」の問題
- 病気の原因は、「遺伝」と「環境」と「運」
- 患者・家族としての私の願い:病気を理解するには、病気の説明が必要です
- 第2章(不思議2):何十年も薬を飲んでいるのに、ゴールが見えない
- 薬を出すときの精神科医の本音とは?
- 今、使われている薬は、偶然な出会いから生まれた
- 精神科の薬物療法は、とにかく飲んでみるという「経験則」
- それでも薬を、有益なものとして捉える
- 私の服薬体験―薬によって得たこと、失ったこと
- 減薬、断薬は、自分の症状と照らし合わせながら主治医と話し合いを
- 患者・家族としての私の願い:薬を出すなら、「薬を減らす」「薬をやめる」ことも同時に考えて!
- 第3章(不思議3):精神疾患の原因や薬を見つけるための研究が進んでいない
- 人間の「こころ」と「お金」
- 研究者は、どんな研究をしているのか?
- 拒食症だった私の「こころ」
- 患者・家族と研究者が一緒になって
- 「研究の沙汰も金次第」
- 患者・家族としての私の願い:研究に患者・家族の参加を!
- 第4章(不思議4):医師から「統合失調症はありふれた病気」と言われる
- 医師を始めとした専門家と、患者・家族の認識の違い
- 精神疾患への偏見を。専門家はどう考えていますか
- いろいろなタイプがある「統合失調症」
- 患者・家族としての私の願い:患者・家族の実際の生活を知ってください
- 第5章(不思議5):「病気」を自覚できない人もいるのに、病院へ行かないと治療されない
- なぜ、病気の人が放っておかれるのか
- 拒食症だった私が、病院に行かなかった理由
- 医師も困っているのです
- 家族による自衛対策
- 患者・家族としての私の願い:患者さんやご家族は「承認される」ことを願っています
- 第6章(不思議6):思春期の患者さんの入院に適した病院がほとんどない
- 切れ目のない医療を!
- なぜ「思春期科」がないのか
- 思春期医療の役割
- 地雷を踏んで歩いていた、私の思春期
- 患者・家族としての私の願い:人間の発達課題を学び、訓練したスタッフを
- 第7章(不思議7):成人した患者さんに対して、なぜ「家族会」が必要なのか
- どうして精神科医療には、「家族会」があるの?
- 私から見た「家族会」
- 家族会の現状
- 患者・家族としての私の願い:家族の本当の願いは「家族ケア」ではありません
- 第8章:アンケートから見える「望まれる医師像」
- 患者・家族、専門職が力を合わせて診療を良くするために
- 終章:精神科医療の未来に向けて
- 「病気を治せない」精神科医療ができること
- 精神科医療の未来に向けての3つの提案
- あとがき:私を奮い立たせたのは、権力への「恨み(ルサンチマン)」だった
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