日本循環器学会 公式ガイドブック
急性・慢性冠動脈疾患の診療ガイドラインを
実臨床で使いこなすための一冊
ISBN:978-4-89775-462-8 C3047
定価3,740円(本体3,400円+税10%)
【編 集】 日本循環器学会
【執 筆】
編集統括:南野徹(日本循環器学会ガイドライン部会長/順天堂大学大学院医学研究科循環器内科学)
作成班 :潟手庸道(自衛隊中央病院循環器内科)
川瀬世史明(岐阜ハートセンター)
香坂俊(慶應義塾大学医学部循環器内科)
斎藤雅也(埼玉医科大学病院総合診療内科)
齋藤佑一(千葉大学医学部附属病院)
澤野充明(イェール大学医学部 Center for Outcomes Research and Evaluation (CORE))
中埜信太郎(埼玉医科大学国際医療センター心臓内科)
新美望(東京医療センター)
福島賢慈(福島県立医科大学医学部附属病院)
真鍋晋(国際医療福祉大学成田病院)
渡邊一平(渡邊医院)
【発 行】 ライフサイエンス出版
B5 並製本 92頁 表紙4 色刷・本文4色刷
2023年5月29日発行
プライマリケアで遭遇しやすいケースを解説しながら,
日常診療に活用できる4つの診療ガイドライン*の内容をこの一冊に収録!
*
2022年JCSガイドラインフォーカスアップデート版 安定冠動脈疾患の診断と治療
2020年JCSガイドラインフォーカスアップデート版 冠動脈疾患者における抗血栓療法
急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版)
慢性冠動脈疾患診断ガイドライン(2018年改訂版)
【読者対象】
循環器専門医,かかりつけ医,研修医,病院勤務医,そしてすべての医療従事者の方に
本書作成の目的
本邦を含めた先進国において,冠動脈疾患は依然として有病率・死亡率の高い重要な疾患領域です。近年では多くの大規模臨床試験を受けてエビデンスが創出され,これらを受けて日本循環器学会でも2018 年以降でも比較的短期間に複数のガイドラインを発行しました。
- 安定冠動脈疾患の診断と治療(2022 年JCS ガイドラインフォーカスアップデート版)
- 冠動脈疾患患者における抗血栓療法(2020 年JCS ガイドラインフォーカスアップデート版)
- 急性冠症候群ガイドライン(2018 年改訂版)
- 慢性冠動脈疾患診断ガイドライン(2018 年改訂版)
- 安定冠動脈疾患の血行再建ガイドライン(2018 年改訂版 日本循環器学会/日本心臓血管外科学会合同ガイドライン)
こうして冠動脈疾患領域の診療の多くの部分は整理されましたが,一方でまだまだコンセンサスの到達には多くの議論が必要な領域も残っており,改めて冠動脈疾患領域の多様性・複雑性が浮き彫りにされてきました。
それではこのような複雑な領域のガイドラインを現場ではどのように利活用すればよいでしょうか。“ガイドライン”はその特性上,推奨の根拠となる多くのエビデンスの記載は不可避であり,ややもすると専門的かつ複雑に捉えられがちです。“ガイドライン”やエビデンスのエッセンスを抽出し,実臨床(Practice)に落とし込むことで,そのギャップを補填するために,本書“ガイドブック”を作成する運びとなりました。
本書では現場対応としてまず身に着けておきたい急性疾患に関するポイントを解説し,その後慢性疾患,さらにいくつかの特殊な病態に関して解説する構成といたしました。プライマリケアと専門施設ではその診療の特性が大きく異なりますが,プライマリケアに関しては実務,一方専門診療に関しては方針決定のために必要な議論に主眼を置いてまとめました。本書が最善の診療の実践に役立てるよう願っております。
2023 年3 月吉日
南野 徹
目次
- 第1章 急性冠症候群(ACS)
- Scene 1 かかりつけ医の初期診療
- ケースファイル1 : STEMIの初期診療の流れ
- ACS疑いをみたらまず行うべき2つのStep
- 【Step 1】 ACSのファーストタッチ:バイタルサイン・診察・問診
- 【Step 2】 ACSを疑ったら速やかに12誘導心電図を
- ST上昇の誘導箇所から病変部位を推測
- STEMIで注意すべき下壁梗塞パターン
- ST上昇しないSTEMIもある
- 見落とされがちなNSTE-ACS心電図変化
- NSTE-ACSで最も注意すべき重症虚血
- ケースファイル2 : NSTE-ACSの初期診療の流れ
- 【Step 3】 NSTE-ACSでは問診・心電図の後にリスク評価
- 見逃してはいけないACSの鑑別疾患
- ACS患者を専門病院に搬送する前の治療
- ACS患者を専門病院に紹介するタイミングの例
- Scene 2 専門施設での診療
- ケースファイル1のその後 : STEMI
- Heart Team DiscussionとShared Decision Making
- STEMIの血行再建は可及的速やかに
- 心原性ショックに挑む!速やかな補助循環の導入
- 致死性不整脈には急性期と亜急性期で異なる対応
- 退院に向けて必要な包括的医療
- Scene 3 かかりつけ医のフォローアップ
- Scene 1 かかりつけ医の初期診療
- 第2章 安定冠動脈疾患
- Scene 1 かかりつけ医の初期診療
- 安定冠動脈疾患の初期診療の流れ
- 安定しているかどうかは問診で判断する
- その症状の原因は冠動脈疾患らしいか?
- [ここまでのまとめ]冠動脈疾患がある可能性の推定
- 安定冠動脈疾患患者を専門病院に紹介するタイミングの例
- 安定冠動脈疾患では早めに薬物療法を開始する
- Scene 2 専門施設での診療
- 安定冠動脈疾患では非侵襲的検査の選択が重要
- 様々な非侵襲的画像検査
- 安定冠動脈疾患に対するCAGと血行再建 —適応とタイミング—
- 安定冠動脈疾患の血行再建方法
- Scene 3 かかりつけ医のフォローアップ
- 安定冠動脈疾患のフォローアップのパターン
- [安定冠動脈疾患・ACS共通]至適薬物療法の管理目標
- PCI後の抗血栓(抗血小板・抗凝固)療法
- PCI後の抗血栓療法の休薬・継続
- Scene 1 かかりつけ医の初期診療
- 付録
- 特殊な冠動脈疾患:MINOCA/INOCA
- 特別な考慮が必要な病態
- 専門医座談会
- かかりつけ医はACS搬送前にどの程度の評価を行うべきでしょうか?
- かかりつけ医はACS 搬送前にどの程度の治療を行うべきでしょうか?
- 冠動脈診療における理想のハートチームとは?
- Pretest-probability,Clinical Likelihood,Patient-Reported Outcome は本当に必要なのですか?
- かかりつけ医に知ってもらいたいdeferral・非侵襲的画像検査に関する知識は?
- LDL-C,血圧,血糖等,CAD の内科的管理はどのくらい厳密に行えばよいのでしょうか?
- 激論!残された課題!特別な配慮が必要な病態