検診や治療に疑問を感じている方!
医療の現実、教えますから広めてください! !
ISBN:978-4-89775-378-2 C0047
定価1,650円(本体1,500円+税10%)
【著】 武蔵国分寺公園クリニック院長 名郷直樹
判型:四六判
2018年7月30日発売
「医学は進歩したが,医者は進歩していない!」
気鋭の家庭医が現代医療を批判し,医療の現実を明らかにします。
■ 目次 ■
- 第1章 明治時代のかっけ研究にみる日本の医学会の体質
- かっけと栄養──幕末から明治にかけ猛威を振るった
- 原因不明でありながら治療法が先に確立
- 日本海軍でかっけ集団発生──解決のキッカケは間違った仮説
- 高木兼寛が行った世界初の臨床実験
- まっとうな批判による健全な議論でかっけ撲滅が停滞
- 米食と麦食の比較試験必要──かっけ研究と森鷗外の反論
- かっけの撲滅に奮闘した医師──麦飯採用で陸軍が「変身」
- 森鷗外に先駆けること3年──高木兼寛が動物実験
- ニワトリの実験で否定されたタンパク質不足説
- 国内試験は麦・パン食+肉増量で患者数ゼロに
- 陸軍の患者増加が東大グループを動かす
- 農学部教授の「オリザニン」発見を無視した日本の医学者
- 日本の学者の無理解が世界的大手柄を奪った
- かっけ克服の転機になった島薗順次郎のあいまいデータ
- 人体実験によるかっけの実証は慶應大学でなければできなかった
- かっけの臨床試験──大森憲太式はなぜ問題なのか
- その後の「かっけ」減少までの長い道のり
- 「根拠に基づく医療」はかっけ論争の反省抜きには語れない
- 現代の医学にいまも色濃く残る「論理重視」の風潮
- 「根拠に基づく医療」の授業は臨床医が行うべきではないか
- ディオバン事件、もう1つの側面──かっけ論争から何も学ばず
- ディオバン事件のその後──日本では論文捏造は罪にならず?
- ディオバン事件と東大──かっけ予防の教訓は生かされているのか
- 敗血症にはビタミンCとB1が有効との最新研究が
- ランダム化比較試験は常に適切な方法といえるのか
- 第2章 がんの終末期にどんな医療を選びますか?
- 「緩和治療」は高額な画期的抗がん剤と同等の効果がある
- がん患者は介護者がいると寿命が縮む?
- 大橋巨泉さんの死因はモルヒネ系鎮痛剤の誤投与なのか
- がん終末期の点滴に医学的効果は期待できない
- 終末期の患者にとって「在宅酸素療法」は意外に効果がない
- 終末期の呼吸困難患者にモルヒネは有効なのか
- 終末期の呼吸困難患者には風を顔に送ることが有効
- 緩和ケアにおける「ステロイド」の効果と副作用
- 欧米で人気──「尊厳療法」の効果と日本での反応
- 終末期治療の「平均的効果」と「個別効果」
- 第3章 がん検診は“本当に”受けた方がいいの?
- がん検診は受けた方がいいのか
- 診断と治療は正しいのに──がん早期発見が害になる“過剰診断”
- がん検診の負の面を伝えるのは難しいものです
- がん検診が過大に評価されるカラクリ
- がん検診の効果は何で検討すればいいのか
- 乳がん検診は年齢によって効果が違う
- マンモグラフィ検診による乳がん死亡は0.07ポイント減るだけ
- マンモグラフィ検診の乳がん死に対する効果の本当のところ
- 乳がん検診2つの害──「偽陽性と被ばく」どう考えるべきか
- がんの早期発見は誰にでもメリットがあるとは限らない
- がん検診の4つの行く末
- がん検診を過小評価させる意外な理由
- 前立腺がんはがん検診に向いていない
- 「前立腺がん検診」の効果
- 大腸がん検診はお勧め
- 子宮がん検診で子宮がん死亡が100から14に激減との報告も
- 肺がん検診の「CT検査」はハイリスク群向け
- 甲状腺がん検診──生死に関係ない潜在がんがきわめて多い
- 第4章 コレステロール、ビタミンCD、βカロテンの意外な事実
- 少しずつ、イロイロがいい──日本人の食事は栄養的に世界一かも
- 和食の弱点──コレステロール不足が脳出血を招く
- 脳卒中とコレステロール──高い方がいい? 低い方がいい?
- 日本人の脳卒中──欧米に比べ脳出血が多い
- コレステロール摂取量が多いとがんになりやすいは本当?
- 寿命とコレステロール──高コレステロールが寿命を延ばしている可能性も
- 卵も脂の多い肉も そればかり食べなければ毎日でもOK
- 魚の脂とコレステロール──心筋梗塞などの合併症予防に効果
- ビタミンCを摂ると「風邪が1日早く治る」は本当か?
- ビタミンCとがん──治療・予防に有効とする研究はあるのか
- 骨を形作るのに必須だが……ビタミンDは骨折を予防しない
- 風邪にはビタミンD? 10万人中3000人が予防できる計算
- ビタミンEとβカロテンの抗酸化作用
- 第5章 糖尿病との賢いおつきあい
- 「根拠に基づく医療」とは何か
- 糖尿病新薬は「仮説」レベルで発売
- 糖尿病合併症予防を「根拠」として治療する
- 40年以上もあやふやな根拠に基づく治療が続いている
- ランダム化比較試験のよいところ
- 血糖を下げ合併症予防を示した最初の研究「熊本研究」の問題点
- 「100の合併症が88に減る」は厳しい治療に見合うものなのか
- 血糖コントロールは緩くてもいい
- 心筋梗塞や脳卒中の予防効果は不明のまま
- 治療は最小限の薬にとどめ空腹時血糖に一喜一憂しない
- 薬を減らし体重を増やさない方がマシ!?
- 厳格コントロールだと低血糖が増える
- 「相対的に合併症が減った」という指標の意味
- メトグルコによる「薬で糖尿病の合併症が減る」の根拠
- 糖尿病の合併症リスクを減らす薬の飲み方
- 薬の追加は逆効果──死亡率が増加
- 安くて効果のある薬が使われていない
- メトグルコの副作用
- 薬による糖尿病治療──長寿は証明されず
- 糖尿病の薬で寿命が延びないワケ
- HbA1cの値と死亡率との意外な関係
- 糖尿病はがんのリスクも高い
- インスリンはがんを増やす!?
- 安くて効果が優れている薬が普及しないワケ
- メタ分析が語る薬による血糖抑制のホントの効果
- 初期の糖尿病は厳しい治療が重要
- 遺産効果の実態──80歳までは変わらない
- DPP4阻害薬の効果──ニセ薬と比較して差がないから安全ってなに?
- DPP4阻害薬は安全と言えるのか
- 鳴り物入りで発売された糖尿病新薬の効果と害
- 血糖より血圧とコレステロールの低下が大切
- 糖尿病患者がアスピリンを使う効果と副作用
- 食事・運動療法は無理せず長く続けることが大事
- 糖尿病の早期発見に意味があるのか
- 運動や食事よりもやりがいのある治療法がある
- 第6章 寿命とがん
- 日本人の「不健康寿命」は延びている
- ステージⅢの進行胃がんの告知と85歳の誕生日
- 100年前と大差ない75歳の平均余命
- 高齢者は病気と闘う必要があるのか
- 風邪は何日で治るのか
- 医療数字の「平均」──半分の人が治るのは……
- パーセンタイルで見えてくるもの
- ばらつきの重要性
- 標準偏差の異常が発端だったディオバン事件
- 「余命6カ月」の本当の意味
- あてにならない「余命宣告」
- 「肺がん」は1年半で90%死ぬ、「乳がん」は10%以上が10年以上生きる
- 「余命8カ月」と宣言され20年生きた生物学者
- 余命は長さよりその中身が大切
- 末期がん「治さない方がいい」とも言い切れない
- 余命宣告の数字は他人のデータ
- 余命宣告を受けた後の生き方
- 末期がんの余命は死刑囚の執行日予測と同じくらい難しい
- 余命宣告は数字の希望の側面も照らす
- 「生き残った人だけの治療法」に意味はない
- がん患者の“生存率“──誰を対象に計算すればいいのか
- 診断技術がアップすると生存率が延びる
- がん患者に見る「雨乞い効果」と「治療効果」
- 第7章 医学研究の現実
- 真実か都市伝説か……「新月の夜は犯罪が多い」の真偽
- 健康食品やサプリメントの広告“著名人の体験談”は怪しい
- 標準的な治療を保険診療の範囲内で行うのが先決
- 自分によく似た患者で検討する
- 動物実験の結果を人間に当てはめてもいいのか
- 科学的でなければ「人体実験」は許されない
- 「人体実験」の実施にはいくつもの“科学的なプロセス”がある
- 「臨床試験」とはすなわち「人体実験」である
- ナチスの「人体実験」を忘れないための「ヘルシンキ宣言」
- 「治験ボランティア」のカネとリスク
- 臨床試験では健康な人が死ぬこともある
- 臨床試験は事故を想定しておかなければならない
- 治験データ解析不足で副作用──日本の臨床試験での“大事件”
- 帯状疱疹の治療薬「ソリブジン」──本当の効果を検証する
- 動物実験から治験まで──数々のステップも事件の歯止めにならない
- 患者は新薬を期待するが治験の「偽薬」はハズレではない
- 新薬の開発にも「ランダム化試験」は重要
- 夢の薬「オプジーボ」のホントの効果とは
- “3カ月の延命”の是非──新薬は副作用の点でも優れているか
- 100mgで27万8000円──新薬「ニボルマブ」の驚くべき値段
- 超高額な新薬「オプジーボ」の値段はどう決められたのか
- 厳しい抗がん剤治療──途中でやめた「脱落者」をどう扱うか
- 最終章 かっけの歴史に戻って