寺本民生 帝京大学臨床研究センター
本号の「不整脈」の項目(CQ 9 p.92-103)で,非弁膜症性心房細動患者に対する抗凝固療法における薬剤の選択について,EBM の観点より論じられている。ワルファリンに対する新規(非ビタミンK 拮抗性)経口抗凝固薬(NOAC)の有効性,安全性は,四つの第Ⅲ相臨床試験[RE-LY 試験(ダビガトラン),ROCKET AF(リバーロキサバン),ARISTOTLE(アピキサバン),ENGAGE AF-TIMI 48(エドキサバン)]およびそのメタ解析で検証され,NOAC はワルファリンと同等あるいはそれ以上の脳卒中・全身塞栓症予防効果を示し,一方で安全性の観点からはNOAC の大出血リスクは少なく,とくに出血性脳卒中(脳内出血およびくも膜下出血)の発生頻度がハザード比0.49 と著減したことが示された。
固定用量による投与法やモニタリング,食事制限が不要などの利便性も考慮すると,NOAC が有用であることに疑いはないであろう。実際,わが国では現在,非弁膜症性心房細動患者に対するNOAC の処方数はワルファリンとほぼ同数ともいわれ,時代はワルファリンからNOAC へと確実にシフトしつつある。
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