2013年,米国糖尿病学会(ADA)は,糖尿病患者の降圧目標を収縮期血圧130mmHg未満から140mmHg未満に緩和した。ACCORD-BPをはじめとした臨床試験で,収縮期血圧をより厳格にコントロールすることによる心血管イベントの抑制効果は明らかでなく,むしろ血圧とイベントとの関係はJ カーブを描くという解析もみられるためと考えられる。一方で,わが国では高血圧治療ガイドライン2014においても糖尿病患者の降圧目標は従来通り収縮期血圧130mmHg未満としている。これは端野・壮瞥町研究などのデータに基づいて,わが国で動脈硬化性疾患として未だに優位である脳卒中について,収縮期血圧が低下するほど抑制が認められるためであるとされている。確かにUKPDS 38 試験(UK Prospective Diabetes Study Group: BMJ. 1998. 12; 317: 703-13.)でも,収縮期血圧が低下するほど,大血管症・細小血管症の発症リスクは低下している。
では腎症の発症予防なども勘案したうえで,はたしてわが国の糖尿病患者の健康寿命延伸のためには,血圧管理をどの程度にすればよいのだろうか? 実際にガイドラインの作成にあたられた先生に,その考え方とエビデンスについて概説いただく。
企画:植木浩二郎
Opinion:片山茂裕
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