ブルガダ症候群は器質的心疾患のない壮年期男性の突然死の原因として重要で,典型的には夜間就寝中に多形性心室頻拍(VT)/心室細動(VF)を発症し,自然停止する場合もあるが,蘇生されなければ死に至る。心停止蘇生例やVT/VF 既往例には植込み型除細動器(ICD)が適応となるが,心停止/VF の既往のない,いわゆる無症候性ブルガダ症候群に対するICD 植込みの適応判定は苦慮することが多い。
ガイドラインではType 1(1 型)のブルガダ心電図(coved type)を有し,①失神,②家族歴,③電気生理検査によるVT/VF 誘発のうち2 項目以上を認めれば,クラスIIa でICD の適応となる。失神については,ブルガダ症候群には神経調節性失神の合併が比較的に多いことも指摘され,その診断には注意を要する。家族歴については,典型的ブルガダ症候群の突然死で,さらに心電図で1 型であることが証明されていれば明確であるが,そうでない場合も少なくない。電気生理検査によるVT/VF誘発の特異度(陽性的中率)は必ずしも高くない。以上のように,クラスIIa 適応とはいえど,実際にはICD 植込みが適切かどうか判断に迷うケースが多い。一方で,国立循環器病研究センターおよび特発性心室細動研究会の報告では,無症候性ブルガダ症候群の生命予後は良好とされている。
では,心停止/VF 既往のないブルガダ症候群のICD 適応は,生命予後の観点でどのように考えべきだろうか。
企画:奥村 謙
回答:鎌倉史郎
VOICE:Pedro Brugada
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