心不全患者の約2/3 は,推算糸球体ろ過量(eGFR)が60 mL/分/1.73 m²未満の慢性腎臓病(CKD)を合併することが知られている。eGFR 低値は,心不全患者の最も強力な予後規定因子であるといわれる。したがって,慢性心不全患者の治療を考えるうえで,CKD の存在を避けて通ることはできない。慢性心不全患者において必須の治療ツールであるレニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬,β遮断薬,抗アルドステロン薬のいずれも,腎機能を悪化させる危険性をはらんでいる。CKD を合併する場合,これらの治療薬は両刃の剣となりうる。急性増悪期においても腎機能の推移は心不全の行末を占ううえで重要である。急性期の利尿薬により腎機能が悪化を来たした心不全例の院内転帰は不良である。
このように心不全のさまざまな局面においてCKD の存在意義は極めて重要であるにもかかわらず,その治療法はほとんど確立されていない。CKD を合併する心不全に対し,治療標的分子となり得るものは何か,また,われわれはどのような治療戦略を構築すべきなのだろうか。
企画:吉川 勉
回答:斎藤能彦
VOICE:John G. F. Cleland
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