動脈硬化予防を目的とした高LDL-C血症の治療にスタチンが有効であることは,広く受け入れられている。一方,基礎研究では,スタチンが膵β細胞のインスリン分泌や脂肪,筋細胞におけるブドウ糖の取り込みを低下させるとの成績が示され(Yada T, et al. Br J Pharmacol. 1999; 126: 1205-13, Nakata M, et al. Diabetologia. 2006; 49: 1881-92.),またわが国を中心にスタチンが糖尿病患者の耐糖能(または血糖コントロール)を悪化させるとの報告も散見される(Sasaki J, et al. J Atheroscler Thromb. 2006; 13: 123-9.)。
近年,非糖尿病患者におけるロスバスタチンの心血管病予防効果を検証したJUPITER研究(Ridker PM, et al. N Engl J Med. 2008; 359: 2195-207.)において,スタチン群がプラセボ群と比べ,糖尿病の新規発症を増やすという結果が報告された。これを受けていくつかのメタ解析が実施され,スタチンによる「糖尿病の新規発症のリスク増加」が示唆されている(Sattar N, et al. Lancet. 2010; 375: 735-42, Rajpathak SN, et al. Diabetes Care. 2009; 32: 1924-9, Waters DD, et al. J Am Coll Cardiol. 2011; 57: 1535-45.)。スタチンにより糖尿病発症のリスクは増大しうるのか,増大するのであれば,診療現場ではどのように対応していけばよいのか。
(企画:横手幸太郎)
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