2012 年1 月,閉経後女性を対象としたWHI のコホート研究において,スタチン
服用が糖尿病リスクを48%増加させることが報告された(Arch Intern Med. 2012; 172: 144-52.)。女性を対象にした大規模な解析はこれまで行われておらず,大きな関心が寄せられている。そこで本誌では,この研究のfi rst author であるCulver 氏とlast author のMa 氏に,スタチンによるリスク・ベネフィットについての考えやアジア人データの解釈などを中心に聞いた。
- WHI の解析ではスタチンにより糖尿病リスクが48%高まることが示されました(ハザード比1.48,95% CI 1.38 -1.59)。これについてどのようにお考えですか。
- Sattar らのメタ解析(男女含む)で示されたオッズ比1.09(95% CI 1.02-1.17)とWHI のハザード比1.48(95% CI 1.38 -1.59)は大きく異なりますが,これは性差,とくに閉経後女性であることが影響したと思われますか。
- スタチンの糖尿病発症リスクは人種にかかわらず認められています。アジア人のデータについての詳細をお話し下さい。
- 欧米諸国では冠動脈疾患(CAD)罹患率が高いため,スタチンによるCAD 予防という利益が,糖尿病発症という不利益を上回り,スタチン投与の妥当性は揺るがないという意見が多数を占めています。一方,日本人のCAD 罹患率は欧米諸国の1/3 ~ 1/4程度です。日本人におけるスタチン投与の妥当性についてお考えがありましたらお話し下さい。
- 今回の研究データを踏まえると,日常臨床ではどのような点に留意すべきでしょうか。
コメント・総括 寺本 民生(帝京大学医学部内科学)
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- 参考
- スタチンと糖尿病発症リスクについては今号のCQ1でも取り上げた。