透析患者における心血管イベント抑制に脂質低下療法は有効か?

透析患者では,心血管イベントの発症率がきわめて高いことが知られている。とくにわが国では脳血管障害が多く,それにより患者のQOLが極端に低下するとともに,死亡率にも大きく関与しており,社会的・医療経済的にも大きな問題となっている。心血管イベント発症予防に,高血圧治療が重要であることは言うまでもないが,最近は脂質低下療法,とくにスタチンによるLDL-C低下療法に期待が寄せられている。しかしながら,透析患者に対するストロングスタチン治療について検討した4D(Wanner C, et al. N Engl J Med. 2005; 353: 238-48.),AURORA(Fellström BC, et al. N Engl J Med. 2009; 360: 1395-407.)などの大規模臨床試験では,治療効果が十分には示されなかった。これに対し,2011年に発表されたSHARP試験(Baigent C, et al. Lancet. 2011; 377: 2181-92.)では,慢性腎臓病(CKD)に対するスタチン+エゼチミブという強力なLDL-C低下療法が心血管イベント抑制効果を示し,CKDに対する脂質低下療法の意義が示されたように思われる。

このSHARP試験ではステージ3以上のCKD患者が組み込まれ,ここには透析患者も含まれている。透析前患者と透析患者に対する脂質低下療法の効果には差がみられないことから,透析患者でも脂質低下療法が心血管イベント抑制に有効であるとされているようであるが,この結果を臨床現場で活かすことができるかについては,議論の余地がある。われわれは透析患者に対する脂質低下療法を実施すべきだろうか。

企画:寺本民生
回答:庄司哲雄
Voice:Matthew R. Weir
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