薬物治療抵抗性の重症心不全の非薬物療法として心臓再同期療法(CRT)の有用性は確立され,『不整脈の非薬物治療ガイドライン(2011年改訂版)』でも「最適の薬物治療でもNYHA心機能分類Ⅲ度または通院可能な程度のⅣ度の慢性心不全を呈し,左室駆出率35%以下,QRS幅120ミリ秒以上で,洞調律の場合」はクラスⅠ適応としてCRTが推奨されている。一方,CRTに対して治療不応の症例(non-responder)の存在も指摘されている。複数の原因が考えられるが,QRS波形や延長度もその一因としてあげられ,最近のメタ解析では,QRS幅が高度に延長している場合や左脚ブロック型の場合はCRT が有用であるが,そうでない場合は必ずしも有用でないことが示されている(Sipahi I, et al. Am Heart J. 2012; 163: 260-7.)。
CRTの有用性を検証したほとんどの臨床研究が,QRS幅が120または130ミリ秒以上の患者を組み入れているが,サブ解析では150ミリ秒以上の患者で有用性を認めたとする報告が多い。これらのデータはどのように解釈し,応用すればいいのであろうか。ガイドラインではQRS波形は特定されていないが,今後は限定されるのであろうか。
企画:奥村 謙
回答:志賀 剛
VOICE:William T. Abraham
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