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一般住民において肥満は独立した将来の心不全発症の危険因子であることが,Framingham Heart Study により示されている(Kenchaiah S, et al. N Engl J Med. 2002; 347: 305-13.)。一方,心不全をすでに発症した患者においては6 ヵ月以上の経過における7.5%以上の体重減少が,年齢,NYHA 心機能分類,左室駆出率などの心不全の予後規定因子とは独立した予後悪化因子であり,心不全患者では体重が増加していることが予後良好であるという結果がAnkerらによって報告され(Anker SD, et al. Lancet. 1997; 349: 1050-3.),“obesity paradox”といわれていた。近年,大規模多施設試験のサブ解析でも同様の検討が行われ,慢性心不全患者ではCHARM 試験(Kenchaiah S, et al. Circulation. 2007; 116: 627-36.)により,急性心不全では登録研究ADHERE により同様の報告がなされた(Fonarow GC, et al. Am Heart J. 2007; 153: 74-81.)。
心不全患者では,本当に太っているほうが予後良好なのか?また,日常臨床においてわれわれは,体重に対しどのような配慮が必要なのか?