冠動脈疾患において,多枝病変に対する冠動脈バイパス術(CABG)の予後改善効果は明らかであり,動脈グラフトの使用により,開存率も確保され成績もさらに向上している。最近のカテーテルによる冠動脈形成術(PCI)との比較試験でも,冠動脈病変が重症であるほどCABGの優れた予後改善効果が示されている。しかし,CABGのデメリットとしてあげられるのが,ポンプ使用(オンポンプ冠動脈バイパス術[on-pump coronary artery bypass; ONCAB])による術後の脳伷塞の発症である。この欠点を解消するために,ポンプを使用しない心拍動下でのCABG(オフポンプ冠動脈バイパス術[off-pump coronary artery bypass; OPCAB])が行われるようになり,わが国ではOPCABの施行は60%を超えるといわれている。一方,OPCABでは手技の習熟度がより要求される(開存率が悪い可能性),完全血行再建の達成率が低いなどの欠点もあり,長期予後を不安視する面もある。
冠動脈疾患患者において,CABGではONCABとOPCAB,どちらが有効であろうか。また,エビデンスに基づき治療するにあたり,術者あるいは施設の成績の関与をどのように考えればよいだろうか。
企画:平山篤志
回答:落 雅美
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