発行・運営:ライフサイエンス出版
心房細動治療に関する最新のガイドラインは,いずれも最初の治療として心原性脳塞栓症予防のための抗凝固療法をあげている。その適用に際して現在多く使用されているのはCHADS2スコアである。心不全,高血圧,75歳以上,糖尿病に各1点,脳梗塞または一過性脳虚血発作既往に2点を付与し,合計点数が0点は低リスク,1点は中等度リスク,2点以上は高リスクと評価する。わが国のガイドライン(日本循環器学会ほか. Circ J. 2008; 72 suppl IV: 1581-638.)は,2点以上では抗凝固療法を推奨(適応),1点では考慮可,0点では不要と記載している。
CHADS2スコアにはいくつかの問題点も指摘されている。たとえば心房細動患者の約半数が0点,1点に集中しているにも関わらず1点の場合の適応があいまいなこと,75歳以上のリスクはさらに大きいこと,冠動脈疾患や65歳以上の高齢者などが含まれていない,などがある。後者については,わが国のガイドラインにその他のリスクとして記載されているものの,その定量的評価は未ださなれていない。2010年の欧州心臓病学会のガイドライン(Camm AJ, et al. Eur Heart J. 2010; 31: 2369-429.)ではCHA2DS2 -VAScスコアによるリスク評価が初めて記載された。これはCHADS2スコアの不足分を補う評価法で,最近のデンマークのnationwide cohort studyで7万例を超える多数例においてその意義が検証された(Olesen JB, et al. BMJ. 2011; 342: d124.)。
では,わが国では心房細動患者のリスク評価はどのように進めるべきであろうか。出血リスクが高いと考えられる患者への対応や,新規抗凝固薬の適応(ワルファリンとの違い)についてはどのように考えればよいだろうか。
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回答:矢坂正弘 国立病院機構九州医療センター脳血管センター・臨床研究センター脳血管内科
Voice:Albert L. Waldo