高LDL-C血症患者におけるスタチンの心血管病予防効果はすでに確立している。とくに二次予防,すなわち冠動脈疾患の既往例では,LDL-C値100mg/dL未満が国内外において管理目標として設定されている。そもそも,1996 年に発表されたCARE 試験(Sacks FM, et al. N Engl J Med. 1996; 335: 1001-9.)において,ベースライン時のLDL-C値が平均139mg/dLの心筋梗塞既往例にプラバスタチン40mg/日を投与し,LDL-C値を平均97mg/dL まで32%低下させたところ,プラセボに比べて主要心血管イベントを24%抑制できたことが,この「100mg/dL未満」の一つの根拠となっている。
その後欧米では,TNT試験(LaRosa JC, et al. N Engl J Med. 2005; 352: 1425-35.)に代表される積極的脂質低下治療の成績が示され,ハイリスク患者の二次予防に向けては,LDL-C値をさらに低い70-80mg/dL未満に低下させることも推奨されている。では,心筋梗塞初発患者のLDL-C 値がはじめから100mg/dL未満であった場合,そのまま生活習慣の改善で様子をみるべきだろうか,ただちにスタチンを投与すべきだろうか。
(企画:横手幸太郎)
■このテーマのPDFを購入する(本体1,000円+税) |
|
|
■掲載号(電子ブック)を購入する(本体3,200円+税) |
|