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臨床試験の考え方

 

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ライフサイエンス選書

臨床試験の考え方

ISBN:978-4-89775ー441-3
定価2,640円(本体2,400円+税10%)

景山 茂 著

A5判,120頁,本文2色刷
2021年9月28日発売

医療にかかわるすべての方へ エビデンスを的確に読み解くために

臨床試験の実施においては,いかにバイアスを避け,参加者の人権を守り,得られた成績の信頼性を確保するかという点がとりわけ重要となります。また,この臨床試験を行う時に求められる知識と,EBMの実践にあたって臨床試験論文を読み解く際に求められる知識の多くは共通しています。

本書では,このような「考え方」をベースに,臨床試験の科学的裏付けから歴史,実施上の管理や規則までを網羅しており,当該領域で指導的立場を果たしてきた著者が,明快にわかりやすく書き下しました。

臨床試験は一人の優れた研究者によって成し遂げられるものではなく,患者はもとより,生物統計家,モニター,コーディネーター等々多くの関係者の利他的な協力なしには実施すらできません。そのことを著者は音楽で言えばオペラのようなものと称しています。

臨床試験に携わるすべての方,医療の現場にエビデンスを適確に取り入れたい方にお薦めの一冊です。

著者紹介

景山 茂(かげやま しげる)

キヤノン診療所所長
東京慈恵会医科大学客員教授
NPO 法人臨床研究適正評価教育機構理事

主な活動,受賞歴
日本臨床薬理学会理事長,日本薬剤疫学会理事長,米国臨床薬理学会機関紙“Clin Pharmacol & Ther” Editorial Board Member を歴任.
厚生労働省GCP 研究班(通称)研究代表,文部科学省橋渡し研究プログラムオフィサー,日本医療研究開発機構(AMED)革新的医療技術創出拠点プロジェクトプログラムオフィサーを歴任.

現在,日本臨床薬理学会名誉会員,米国臨床薬理学会名誉会員, 日本糖尿病学会功労学術評議員,日本高血圧学会功労会員, 日本臨床薬理学会専門医,日本糖尿病学会専門医,日本循環器学会専門医
DIA(Drug Information Association)Outstanding Service Award 受賞

■ 本書の内容 ■

  • 1章 臨床試験の科学
    • 1 三「た」論法
    • 2 臨床試験とは
    • 3 ランダム抽出(random sampling)とランダム割付け(random allocation)
    • 4 偏りを避ける工夫
    •  1)比較対照を設ける
    •  2)選択バイアスを避ける
    •  3)観察バイアスを避ける
    •  4)測定バイアスを避ける
    •  5)解析のバイアス
    •  6)出版バイアス(publication bias)
    • 5 仮説の生成と仮説の検証
    • 6 臨床研究の分類とデザイン
    •  1)介入研究(臨床試験)と観察研究
    •  2)介入研究(臨床試験)とスタディ・デザイン
    •   ① 並行群間比較デザイン(同時対照)
    •   a)ランダム化並行群間比較試験
    •   b)要因配置デザイン(factorial design)
    •   ② 逐次デザイン
    •   a)クロスオーバー試験
    •   b)自己対照試験
    •   ③ 外部対照,既存対照
    • 7 エンドポイント
    •  1)一次エンドポイント(primary endpoint)と二次エンドポイント(secondary endpoint)
    •  2)true endpointとsurrogate endpoint
    •  3)short-term endpoint, middle-term endpoint, long-term endpoint
    •  4)ソフトエンドポイント(soft endpoint)とハードエンドポイント(hard endpoint)
    •  5)複合エンドポイント(composite endpoint)と単一エンドポイント(single endpoint)
    • 8 プラセボ
    •  1)プラセボの意義
    •  2)プラセボを設けない薬効評価の危うさ
    •  3)ヘルシンキ宣言におけるプラセボの位置づけ
    • 9 PROBEデザイン
    • 10 最小化法
    • 11 割付けの隠蔵(allocation concealment)
    • 12 交絡(confounding)と交互作用(interaction)
    • 13 臨床試験の限界
    • 14 決定論と確率論
  • 2章 臨床研究の歴史
    • 1 草創期の疫学研究・臨床研究
    •  1)James Lindによる壊血病の研究
    •  2)John Snowによるコレラの研究
    •  3)高木兼寛による脚気の研究
    • 2 現代の臨床試験の始まり
    •  1)Medical Research Council(MRC)によるストレプトマイシン研究
    • 3 真のエンドポイント(true endpoint)を検証した臨床試験
    •  1)Veterans Administration Cooperative Study
    •  2)UGDP(University Group Diabetes Program)研究
    •  3)CAST(Cardiac Arrhythmia Suppression Trial)
  • 3章 臨床試験の目的と種類
    • 1 優越性試験,非劣性試験,同等性試験
    •  1)優越性試験
    •  2)非劣性試験
    •  3)同等性試験
    • 2 最適条件試験と実臨床試験
      (efficacy trial and effectiveness trial, explanatory trial and pragmatic trial)
    • 3 探索的試験(exploratory trial)と検証的試験(confirmatory trial)
    • 4 大規模臨床試験(large scale clinical trial)
    • 5 症例数1の臨床試験(n-of-1 trial)
    • 6 治験:第Ⅰ相試験,第Ⅱ相試験,第Ⅲ相試験
    •  1)第Ⅰ相(最も代表的な試験:臨床薬理試験)
    •   ① 初期の安全性及び忍容性の推測
    •   ② 薬物動態
    •   ③ 薬力学的な評価
    •   ④ 初期の薬効評価
    •  2)第Ⅱ相(最も代表的な試験:探索的試験)
    •  3)第Ⅲ相(最も代表的な試験:検証的試験)
  • 4章 臨床試験の管理
    • 1 臨床試験の信頼性
    • 2 モニタリング
    • 3 独立データモニタリング委員会
    • 4 臨床試験の中間解析と早期終了
    • 5 臨床試験の登録とデータの共有
    • 6 臨床試験結果の公表
  • 5章 臨床試験の倫理と規制
    • 1 ヘルシンキ宣言
    • 2 ICH
    • 3 GCP
    • 4 臨床試験と適用される規制
    • 5 利益相反
    •  1)法概念としての利益相反
    •  2)我が国における利益相反の経緯
    • 6 CONSORT声明
    • 7 臨床研究と利他主義
  • 用語集
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